ケーキの魔法使い6「こんにちは~」そこにはあの女の子が立っていました。 「久しぶり。お兄ちゃん!!」 そして、その後ろにはお母さんとお父さんが立っていました。 「美味しかったよ。あのケーキ。ママもね、元気になって帰ってこれたよ!!」 舞ちゃんは誠に飛びついて、そう言いました。 「良かったね。」 舞ちゃんを受け止めながら、誠も嬉しくてたまりませんでした。 「本当に美味しいケーキで、妻もすっかり元気になって。僕は甘いものが苦手なんですけど、このケーキはぺろっと食べてしまって。 是非とも僕からもお礼が言いたくて。この町に帰って一番にお礼を言いに行かなきゃって・・・」 「本当にありがとうございました。私、あんな美味しいケーキ生まれてはじめてです」 お父さんとお母さんは口々にそう言いました。 「あ、いや、そんな・・・俺こそ、ありがとうございました」 誠は思わず、そう言っていました。 「え?」 舞ちゃんの両親をはじめ、その場にいた皆がびっくりしたように誠を見ました。 「俺、本当は自信無くしてて・・・。でも、あの日、舞ちゃんにあのケーキ作って、喜んでもらえて、もう一度頑張ってみようって 思ったんです。」 「我々は何もしてませんよ。それはあなたの力です。まあ、ここにいる、希さんの力もあるかも知れませんが・・・」 そう、舞ちゃんのお父さんが言うと、希さんと言われた、あの女性は恥ずかしそうに顔を赤らめて俯きました。 「私たちも希さんの記事を見て、すぐあのケーキのことだってわかったんです。で、その頃、治療が辛かったんですけど・・・。 私、絶対元気になって、舞とお店に行こうって」 と舞ちゃんのお母さんが言いました。 「お母さん、頑張ってたんだよ。舞も、味見の結果言いに行くって約束したんだってずっと言ってたから」 「そっか。皆さん、ありがとうございます。俺、俺これからも頑張ります。みんなに喜んでもらえる、幸せになってもらえるケーキ 作れるように」 誠の目からは涙がこぼれ出していました。 「お父さん・・・」 お母さんがそっと、お父さんの手を引きました。 「え?あ、そうか・・・舞、ちょっと外に出ようか」 お父さんはそっと舞ちゃんの手を引きました。 「え~、何でお兄ちゃんともう少しいる~」 舞ちゃんはほっぺたをふくらませて、すねだしました。 「ほら、お兄ちゃん忙しいだろ?また後で来るから。お母さんも家に帰りたいだろうし・・・」 お父さんは舞ちゃんに、まるで秘密の話をするように、そっとこう言いました。 「そっか・・・じゃあお兄ちゃん、またあとで来るね」 舞ちゃんは手を振り、お父さん、お母さんと共に店を出て行きました。 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|